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あの人は魔法使いだった。
あの人は魔法を使えたのだ。
「痛いよ、痛いよ。」
山のふもと、大きな山の影に隠れて膝を抱えて泣いていた
彼女は毎日泣いていた。
でもどこからも真っ赤な血は出ていなくて
代わりに色のない涙ばかり流していた。
あの人は彼女を見つけた。
それがまず魔法のようだったけれど
だからあの人が魔法使いなのではない。
あの人はそっとしゃがんで、言った。
大きな手を彼女にかざして。
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
すると彼女の涙はたちまち白い鳩になり、空へ飛び立っていった。
まるでたんぽぽの綿毛のようだった。
彼女は笑った。
もう何年も見ていなかった彼女の笑顔は、その山の名を知らしめた花によく似ていた。
あの人は魔法使いだった。
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
魔法の呪文はいつもそれ
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
あの人が手をかざせば痛みは蝶になり、鳥になり、種になった。
ああ、あの人は魔法使いだったのだ。
あの人は魔法を使えたのだ。
「痛いよ、痛いよ。」
山のふもと、大きな山の影に隠れて膝を抱えて泣いていた
彼女は毎日泣いていた。
でもどこからも真っ赤な血は出ていなくて
代わりに色のない涙ばかり流していた。
あの人は彼女を見つけた。
それがまず魔法のようだったけれど
だからあの人が魔法使いなのではない。
あの人はそっとしゃがんで、言った。
大きな手を彼女にかざして。
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
すると彼女の涙はたちまち白い鳩になり、空へ飛び立っていった。
まるでたんぽぽの綿毛のようだった。
彼女は笑った。
もう何年も見ていなかった彼女の笑顔は、その山の名を知らしめた花によく似ていた。
あの人は魔法使いだった。
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
魔法の呪文はいつもそれ
「いたいの いたいの、とんでいけ。」
あの人が手をかざせば痛みは蝶になり、鳥になり、種になった。
ああ、あの人は魔法使いだったのだ。
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